HANDS-FDF (Faculty Development Fellowship) - 臨床とFDを組み合わせたWSの取り組み
Integrating Teaching Skills and Clinical Content in a Faculty Development Workshop ↑
Michael L,Green,MD et al.
指導医養成の中に臨床的実践内容を組み入れた統合的なプログラムが、指導医らが教育的な時間を確保することや、学びを強化するための方略の一つとして推奨されている。今回、私たちはニーズ調査を行った上で「外来研修指導」と「プライマリケア領域の遺伝相談」の両方の分野を対象とした3時間のワークショップに取り組んだ。このワークショップはディスカッション、ミニレクチャー、ビデオ、ロールプレイなどからなる。計26名の指導医たちが参加したが、ワークショップの前後で「外来研修指導」と「プライマリケア領域の遺伝相談」のスキルが改善したかどうかアンケートを用いて調査した。さらに3ヶ月後に実践内容が定着しているかどうかの追跡調査を行った。結果、ワークショップの介入により、「外来研修指導」の分野で平均2.4つの具体的な改善が、「遺伝相談」の分野で2.0つの具体的改善が挙げられた。また3ヶ月後の追跡調査では38%が完全な実行を、41%が部分的な実行を行っていたが、21%では実行できていなかった。実行できていなかった理由として最も多かったものは、指導の面では「技術に充分でない」、臨床実践の面では「適応となる患者がいない」であった。臨床的実践内容を指導医養成に組み入れた統合的なワークショップは実現可能であり、臨床面及び教育面での改善の効果が期待でき、行動変容を促す効果がありそうだ。
「外来研修指導」
・ 学習ニーズを引き出し、学習者を評価し、セルフディレクティッドな学習を促進するような質問を使うことができる
・ 患者診断、学習者診断を行うことができる
・ One minute preceptorを行うことができる
・ 学習者の自立を促すことができる
「プライマリケア領域の遺伝相談」
・ 一般的な女性及びBRCA変異のある女性の乳癌のリスクを評価することができる
・ BRCAテストの評価解釈を行うことができる
・ 乳癌のリスクを低下させる戦略の効果を理解する
・ BRCAスクリーニングを行うことの利点欠点についての相談を受けることができる
・ 遺伝に関する検査の倫理的、法的、社会的側面について認識評価することができる
<感想>↑
FDと臨床的な内容と組み合わせたワークショップを行ったこの論文に非常に興味が沸いた。現在、HANDSで学んだことをうまく現場で活かそうと思うと、まさにこのような実践になるのではないかと考えている。「教育と臨床実践のイノベーション」というセクションもぴったりだ。「外来研修指導」と「遺伝相談」の2つの領域それぞれに学習目標を立てていることも評価でき、3時間のワークショップにうまくまとめていると思われる。このワークショップ介入の評価については、Kirkpatrickの「Level 3 Transfer → 現場での応用、実際に変化したこと、行動の変化」を意識したものだと思われた。3ヶ月後に追跡評価を行っていることは、ワークショップ介入が本当に意味のあったものかどうか考えることに重要な視点である。臨床実践での改善があるため、当然、患者にとっても利益がありそうだと推測はされるが、実際、level 4での改善が行われたのかどうかの評価はやはり難しいだろう。このような臨床実践とFDを統合させた形でのワークショップは、今後、私たちが現場で取り組んでいくべき課題である。
担当:朝倉健太郎
岡田コメント↑
非常に興味深い論文です。「xxを教えるためのWS」として各論をやることで教育スキルとその領域も一緒に教えるという一石二鳥のアイデアです。
事前のニーズ評価、3ヶ月後のフォローの評価もされているし、参加者に具体的に「現場に戻って実行すること」を終了時点で書いてもらっている、など教育効果の確実な実現を意図した良い介入だと思います。HANDSもこのような形態をとっていますが、最終的に同じような所に落ち着くということなのでしょう。
出典↑
Integrating Teaching Skills and Clinical Content in a Faculty Development Workshop
Michael L Green, MD, MSc et al
J Gen Intern Med. 2003 June; 18(6): 468−474.
http://www.pubmedcentral.nih.gov/articlerender.fcgi?artid=1494873
