HANDS-FDF (Faculty Development Fellowship) - 予防医療における優先順位の付け方の教育
Teaching Medical Students to Prioritize Preventive Services
Heidi S. Chumley, MD; Alison Dobbie, MD;
Madelyn Pollock, MD; John E. Delzell Jr, MD, MSPH
Fam Med 2006;38(10):696-9.
背景↑
一回の外来診療においてすべての予防医療に取り組むことは不可能であり、優先順位をつけて行う必要がある。今までの教育では、予防についての学生の知識を改善させることはできていたが、臨床場面で効率的にそれに取り組むためのスキルについてはあまり強調されてこなかった。
方法↑
医学部3年生を対象に、一回の外来診療において取り組むべき予防医療の優先順位の付け方についての90分のワークショップを1回開いた。ワークショップを受けた学生と受けなかった学生で、模擬患者の診療におけるパフォーマンスを比較する前向きコントロール研究を行った。
ワークショップでは、学生は4人グループで与えられたケースについて30分の診療時間内にどの予防に取り組むかのリストを作成、その後、指導医とディスカッションし、年齢別の主な死因やUSPSTFでの推奨度などを考慮して、何を優先すべきか考えることを学んだ。
学生は6週ずつ、家庭医療科と老年・外来診療科のクラークシップを回るが、家庭医療科を先に回った学生を介入群とし、実習開始5週目に模擬患者診療における評価を行った。予防医療の優先の仕方についてのスキルを5つのサブスキルに分け、それぞれに対応する項目をチェックリストにし、模擬患者が採点した。
結果↑
介入群19名、コントロール群24名が自分の成績を研究のために用いることに同意した。学生たちの成績は全体によかった。しかし、介入群とコントロール群において平均スコアに有意差はなかった。
考察↑
コントロール群の成績が予想以上に良かったことから、模擬患者のシナリオが差を検出するほど難しくなかった可能性があり、シナリオに工夫を加える余地があると考えられた。また、ケースに基づいた1回だけのワークショップは学生の行動を変え、実際の診療に活かすには不十分だったとも考えられる。
結論↑
我々の短い介入によっては学生のスコアを改善させることはできなかった。よりよい教育法についてはさらなる研究が必要である。
担当者コメント↑
PICOが明確にされた教育研究であり、Kirkpatrickの評価の4段階ではLevel 3 で現場への応用、行動の変化をみるものとなっている。なるほどこのように介入し評価するのかということが大変勉強になった。
どの予防を優先して取り組むかを考え、診療場面での行動を変えるという教育は、確かに非常に重要なことであり、教育介入するテーマとしては大変妥当なものであると思った。しかし、介入法と評価法のそれぞれについて、妥当性を確保し、向上させることの難しさが感じられた。また、一回きりのワークショップの限界についても痛感され、継続するサポートを取り入れるとより効果的な介入になるのだろうと予測される。 (井上真智子)
岡田コメント↑
出典↑
- abstract
http://www.stfm.org/fmhub/fm2006/abstracts.cfm?xmlFileName=fammedvol38issue10.xml#Heidi696
- 全文
http://www.stfm.org/fmhub/fm2006/November/Heidi696.pdf
