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HANDS-FDF (Faculty Development Fellowship) - 難しい患者への対応を教える―CALMERアプローチの6段階


難しい患者への対応を教える―CALMERアプローチの6段階
The CALMER Approach: Teaching Learners Six Steps to Serenity When Dealing With Difficult Patients
(Fam Med 2004;36(7):467-9.)
Heidi A. Pomm, PhD; Edward Shahady, MD; Raymond M. Pomm, MD

  • 「難しい患者」への対応は経験豊富な医師でさえも負担と感じうるのであり、学習者にその対処法を教えることは容易なことではない。
  • 「難しい患者」には、医学的に挑発的な患者、人格的に難しい患者、精神神経疾患の患者、慢性疾患患者、社会的サポートを受けていない患者が含まれる。高齢者、離婚経験者(未亡人)、低生活レベル者に多く、患者の特徴は、過度に依存的である、ごまかす、従順でない。
  • ある研究では家庭医の受け持った722人の患者のうちおよそ30%は「難しい患者」であった。
  • 「難しい患者」への応答は、黙って怒りをため込むタイプから、明らかに軽蔑や無礼な態度を示すタイプまでさまざまである。患者に自らの不十分さ、無能さを露呈されたように感じ、このような陰性応答が生じる。
  • 陰性応答した医師は患者の病歴や状況を理解していながら、思慮深く傾聴したり、共感を示したり、信頼を築き上げることができなくなる。
  • CALMER アプローチは学習者(教育者)が、患者への対処に困難や落胆を感じたり、侮蔑的な見方をしたり、患者のケアから逃れたいと感じるときに活用できる。患者の行動ではなく常に自分の応答(感情)にフォーカスをおくことが重要である。

CALMER アプローチの6段階

(1) Catalyst for Change(患者の行動変容へのきっかけを作る)
難しい患者に対面する状況において何をコントロールできるのか、もしくはできないのかを確認する。自分がコントロールできるのは自らの応答(感情)のみであることを意識。そして「行動変容のモデル」において患者のおかれる段階(例:無関心期)を把握し、患者の行動を変えるのではなく、患者自身が起こす患者の行動変容へのきっかけ作りをする,と考える
(2) Alter Thoughts to Change Feelings(自らの感情を変化させるために考えを変換する)
認知行動療法では自らの応答(感情)をコントロールするための唯一の方法は、その状況に対する考え(thought)を変換することであるとされる。患者に対してどんな感情を抱いたかを認識し、医師患者関係や医療行動にどう影響したかを認識する。患者は医師との関係上だけでなく、生活におけるさまざまな状況において同様の問題行動をとるのである。また、患者の行動を説明しうる理由(例えば過去の虐待、低所得、孤独など)について理解する。患者の言動を個人的なものとしてうけとめない.
(3) Listen and Then Make a Diagnosis(傾聴し診断をつける)
患者に対して様々な陰性感情を持ったままでは正確な診断にたどりつけなくなる。1,2のステップをまず経て、陰性感情を処理してから患者に傾聴することで、より正確な診断にたどりつくことが出来る
(4) Make an Agreement(同意を得る)
「あなたが可能な限り健康でいられるために、今後私のところへ通っていただきたいのですが、よろしいですか?」のように、医師患者関係を継続することへの同意を確認する。患者自身に自らの問題行動について気づきがあるなら、「この問題(正確に問題を特定する)について一緒に取り組んでいきましょう。」と声かけする。
(5) Education and Follow-up(教育とフォローアップ)
具体的に達成課題を立てる。例えば、禁煙に関心のある患者に対して「次の2週間はタバコに手を伸ばしたときの気持ちを書きとめてきてください」という宿題を課すなど。2週間後にこの宿題に関しての議論をし、患者を禁煙行動に促進できる。自分が「患者はこうするべき」と考える課題ではなく、患者の行動変容のステージに応じた、実現可能な課題を設定する。
(6) Reach Out and Discuss Your Feelings(感情についての議論)
これまでの段階を終了した時点で、「この患者に対して今ならどのような感情を抱くだろうか」と自問してみる。また、この感情や困難に関して信頼できる同僚や友人と話し合うことで大きな助けになる。難しい患者に対面したとき、医師は孤独を感じる必要はないのである。

担当コメント

難しい患者さんへの応答に関して、態度領域の教育セッションを担当した関連でこの論文を選択した。CALMER アプローチは、基本的には患者の行動変容へのアプローチ(例えばLEARNのアプローチ)によく似ていると思ったが、このアプローチでは患者の行動ではなく、それに対する自分の応答(感情)に焦点を当てることが重要、としており(1)(2)と(6)では自らの感情への振り返りが織り交ぜてある。自分へのフォーカスと患者へのフォーカスを混同すると、理解しにくくなる論文である。
短い時間での学習者の診療に関する指導では、患者だけに焦点を置くことがほとんどであるが、特に難しい患者と対面した学習者の感情面には配慮し、学習者と患者双方の変容を促進していきたい。
担当:川尻英子

岡田コメント

本文、若干加筆訂正しました。
著者の名前とCALMER approachで検索するとかなりヒットする。広く引用されている方法と思われる。5つのマイクロスキルの様に、少ないステップで覚えやすいものにすることは教育を標準化し、また多くの人に利用されることを促進する。
しかもこの方法は
Prochaska and DiClemente’s “Stages of Change” model
Shahady’s “Rule of Five,”
Gillette’s “Practical Approach for Managing Problem Patients.”
strategies derived from cognitive-behavioral therapy
らを統合して作成されているとのこと。
difficult patientについての方法論は多く書かれているが、短時間で実戦可能なモデルの提唱は数少ないとのこと。次のステップは実際にこのモデルを使用して指導を行なった時に何らかのアウトカムの向上が見られるかの研究が必要であろう。

出典

全文
http://www.stfm.org/fmhub/fm2004/July/Heidi467.pdf


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