Powered by MyWiki.jp

HANDS-FDF (Faculty Development Fellowship) - 糖尿病の質改善プロジェクト


A Residency Clinic Chronic Condition Management Quality Improvement Project
Larry W. Halverson, Dan Sontheimer, Sharon Duvall
Volume 39 Issue 2 February 2007 Family Medicine Jounal

【背景】

慢性疾患のマネージメントの質を改善することは、健康増進と費用削減に役立つ大きな戦略である。

【目的】

“chronic disease management” と“Future of Family Medicine(FFM)”に示される質の改善を研修プログラムのクリニックで実行し、その評価をする。

【方略】

慢性疾患のうち糖尿病を対象とした。まず、さまざまな職種(質改善プログラムの専門家、情報技術の専門家、薬剤師、学生、糖尿病の患者教育の専門家)からなる委員会をたちあげた。委員会は、月に1時間のミーティングを開催することとし、”rapid cycle change”法(ゴールを達成するまでのステップを小分けにし、それぞれのステップで行動・計画・実施・評価を繰り返していく方法)を用いて診療の質の改善にむけ行動の改善を図った。また、過去2年間で受診した糖尿病患者のデータを電子カルテにとりこみ、患者のデータとADAの治療ゴールが一目で分かるような画面設定や、診療する医師毎の治療ゴールの達成率がグラフで示されるようなシステムを開発した。また予約外来のシステム化や、地域での健康教育を開催した。

【結果】

糖尿病の臨床の質評価指標(HbA1c、LDL、収縮期血圧、拡張期血圧、足の診察、ミクロアルブミン尿)6項目のゴール達成率において、5項目に著名な改善を認めた。
HbA1c:ゴール達成率 30.1475% →34.7525% (P<0.00002)
LDL:ゴール達成率 24.2425% →29.655% (P<0.002)、
収縮期血圧:ゴール達成率 38.51% →38.7425% (P=0.55)
拡張期血圧:ゴール達成率 42.605% →48.015% (P<0.004)
足の診察:ゴール達成率 55.3925% →65.7675% (P<0.0005)
ミクロアルブミン尿:ゴール達成率 37.0067% →42.9733% (P<0.02)
また、スタッフは、質の良いケアを通じて、個人的にも仕事についても満足していた。

【結論】

多くの専門家による“chronic disease management” と“Future of Family Medicine(FFM)”に示される質の改善プログラムは、慢性疾患の一つの改善に非常に有効であった。

【感想】

今回のプログラムにおいて、糖尿病患者への診療の質が改善したということであったが、プログラムの内容が多岐に渡っていたため、何が効果的であったか判断するのは困難であった。また、対象患者数、追跡期間、関係者の参加人数といった基本情報の不足や、スタッフの満足度評価の根拠となるデータ等の記載がなかったのが残念な点であった。また、本文のlimitationにも記載があったが、今回の評価指標はあくまで中間の成果をみており、死亡率やコストについての評価はされていないのが限界である。
この取組では、チームワークによる効果が重要であると結論づけられているが、個人的には、「目に見えること」の重要性に興味を持った。設定した目標や計画、行動によって得られた成果など、出来る限り目に見えるようにすることが大事であり、今回の取組において患者データと治療ゴールが一目で分かるような画面設定や、診療する医師毎の治療ゴールの達成率が掲示された電子カルテの存在は大きいであろう。教育の現場でも同じことが言える。「設定したゴールを常に意識し、計画をたて、成果について評価する」の基本がすべてに通じており、基本を忠実に行うことで、質の高い成果を得ることが可能となるのだと感じた。(中村)

岡田コメント

これはCQIプロジェクトに当たり厳密には教育的介入ではないため、妥当性の評価などは適切に出来ない。CQIプロジェクトの評価の基準は別にあります。
参照
問題指向型臨床auditプログラム:家庭医レジデントの知識と技術への影響

出典


Wiki内リンク元